「井月句集 復本一郎編」を読む。
井上井月は正統派の俳人でありながら余り知られていない。
井月の作品は芥川龍之介、種田山頭火にも影響を与えた。
井上井月(1822―1887)は、天保期から明治初期にかけて信州伊那谷を漂泊、一所不住の数奇な生涯を終えた俳諧師である。所謂「月並俳句」の時代とされる近世俳諧の沈滞期にあって、ひとり芭蕉の道を歩いた越格孤高の俳人である。 井月の酒好きは当時、伊那谷一帯に知れ渡っていた。当然、井月には酒にまつわる句が数多く残されている。秋の新酒を詠んだ「親椀につぎ零したり今年酒」、雪の日に残した「別れ端のきげむ直しや玉子酒」など、季節それぞれの酒を句にしている。また、新酒が出来たことを知らせる酒屋の杉玉を指す「さかばやし」を詠み込んだ「油断なく残暑見舞やさかばやし」「朝寒の馬を待たせたさかばやし」などの句は、幕末から明治初期の伊那谷の一点景を表している。
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