「独裁者の子どもたち ジャン=クリストフ・ブリザール , クロード・ケテル (著), 清水 珠代 (訳)」を読む。
独裁者の子どもたちは決して幸せでない。彼たちの父親の過酷な政治犠牲者が独裁者の子どもたちも周辺に犇めいているのだ。スターリンも毛沢東も自国民を大量虐殺したのだ。
ソ連のスターリン、中国の毛沢東、イラクのフセイン、キューバのカストロ、リビアのカダフィ。彼らは誰もが知る世界の独裁者。ただ、この独裁者の子どもたちがどのように生きたのかはほとんど知られていない。
本書は、12人の独裁者の子どもたちが「どのように生を受け、育ち、そして父親が権力の座を奪われた後どう生きたのか」を関係者の肉声を交え、克明に記したもの。
幼少期に棄てられ、再会した後も他人のように扱われた毛沢東の息子。ひたすら生き延びることを求め、アメリカに亡命したスターリンの娘。父親の敷いた体制を全面的に支持し、その遺産を守ろうとしたチャウシェスクの娘と、甲乙つけがたい壮絶さですが、壮絶さで群を抜いているのがフセインの二人の息子、ウダイとクサイです。
二人は教育と称して幼少期から処刑に立ちあわされ、その結果、父が意図した以上に拷問のやり方を覚え、身の毛もよだつような残酷な性格を身につける。
その後、二人は権力争いを繰り広げるも、体制の崩壊によってその野望も打ち砕かれる。あまりにも悲惨な末路です。
各人の悲惨なエピソードに心震えるのはもちろん、通しで読むことで見えてくる独裁者の子どもたちの共通点も興味深いものがあります。
独裁者たる父親の下で人々の熱い視線を浴び、執拗な監視も受ける。過度に持ち上げられたかと思えば、貶められる。自由はもちろんなく、いびつな精神的成長しか許されず、父親が失脚した後は手のひらを返され、ひどい仕打ちを受ける。
独裁政治のある意味一番の被害者であるその子どもたちの生き様を通し、独裁政治が何を生むのかを知ることができる良著です。
2016年4月7日木曜日
「独裁者の子どもたち ジャン=クリストフ・ブリザール , クロード・ケテル (著), 清水 珠代 (訳)」を読む。 独裁者の子どもたちは決して幸せでない。彼たちの父親の過酷な政治犠牲者が独裁者の子どもたちも周辺に犇めいているのだ。スターリンも毛沢東も自国民を大量虐殺したのだ。 ソ連のスターリン、中国の毛沢東、イラクのフセイン、キューバのカストロ、リビアのカダフィ。彼らは誰もが知る世界の独裁者。ただ、この独裁者の子どもたちがどのように生きたのかはほとんど知られていない。 本書は、12人の独裁者の子どもたちが「どのように生を受け、育ち、そして父親が権力の座を奪われた後どう生きたのか」を関係者の肉声を交え、克明に記したもの。 幼少期に棄てられ、再会した後も他人のように扱われた毛沢東の息子。ひたすら生き延びることを求め、アメリカに亡命したスターリンの娘。父親の敷いた体制を全面的に支持し、その遺産を守ろうとしたチャウシェスクの娘と、甲乙つけがたい壮絶さですが、壮絶さで群を抜いているのがフセインの二人の息子、ウダイとクサイです。 二人は教育と称して幼少期から処刑に立ちあわされ、その結果、父が意図した以上に拷問のやり方を覚え、身の毛もよだつような残酷な性格を身につける。 その後、二人は権力争いを繰り広げるも、体制の崩壊によってその野望も打ち砕かれる。あまりにも悲惨な末路です。 各人の悲惨なエピソードに心震えるのはもちろん、通しで読むことで見えてくる独裁者の子どもたちの共通点も興味深いものがあります。 独裁者たる父親の下で人々の熱い視線を浴び、執拗な監視も受ける。過度に持ち上げられたかと思えば、貶められる。自由はもちろんなく、いびつな精神的成長しか許されず、父親が失脚した後は手のひらを返され、ひどい仕打ちを受ける。 独裁政治のある意味一番の被害者であるその子どもたちの生き様を通し、独裁政治が何を生むのかを知ることができる良著です。
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿