2015年6月9日火曜日

高村光雲

6月7日。NHK日曜美術館「に命を込める 彫刻家・高村光雲」を見る。
開創1200年を迎えた高野山で、金剛峯寺金堂の本尊薬師如来が、昭和9年に納められて以来、初めて開帳された。作者は、幕末から昭和にかけて、日本の近代彫刻を切り開いた彫刻家・高村光雲だ。金堂の本尊は、70歳を過ぎ、なみなみならぬ思いで彫り上げた渾身の作だ。光雲は職人であることに誇りを持ちながら、新たな時代の彫刻を探求し続けた。
高村光雲は、11歳で仏師のもとに弟子入りし、職人としてその道を歩み始めた
明治維新の後、廃仏毀釈の影響で、木彫の世界が厳しい状況に追い込まれる中、決して信念を曲げず修行を重ねた。西洋の彫刻を学んだ息子の光太郎は、職人としての姿勢を貫こうとする光雲を強く批判したが、光雲自身も新しい彫刻を模索し、「老猿」「楠木正成像」など、近代彫刻を代表する傑作を世に送り出した。
そんな光雲が、最晩年「現代第一流ノ人格手腕ヲ具備スル彫刻家」と目され、依頼を受けたのが高野山の秘仏薬師如来だった。光雲は死を意識しながら高野山の依頼を受ける。光雲は職人と芸術家、相反する領域を飄々と行き来しながら、木彫一筋に生きた。

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