「日本出身」報道に違和感 大島勝さん(元関脇旭天鵬・大島親方)
「日本出身力士、10年ぶりの優勝」「18年ぶり日本人横綱誕生へ」って、事実は事実だから言いたいのは分かります。だけど4年前、自分がモンゴルから日本に国籍を変えて優勝している。だから「日本人、4年ぶり」でもあるのに「日本出身」ばかりだったから、違和感はあります。
角界で不祥事があったとき、先頭に立って引っ張ったのは横綱の白鵬関です。その姿を見てお相撲さんみんなが「頑張ろう」っていう雰囲気になった。日本人とかモンゴル人とか関係なかった。日本人横綱を期待するのは分かりますが、その辺をもう少し配慮した報道だったり応援だったりしたら、やる側は気持ちよくやれるんじゃないかな。
国籍を変えるって覚悟がいる。自分の場合、モンゴルで裏切り者って批判も受けました。それでもいいと思ってるけど、こういう言葉の使い方をされると、日本人になった自分の優勝が消されている感じで寂しい気持ちになるね。
日本人になろうと思ったのは、相撲しか知らなかったから。17歳で日本に来て、引退後のことを考えたとき、相撲以外に頭に浮かんでこなかった。親方になるには日本国籍が必要。だったら取ろうと。
もちろん日本にずっと住みたいという気持ちもありました。巡業で外国に行くと、やっぱり日本がいいなと思う。食事に行くと、おしぼりと水がすぐ出てくる。一つ一つがこっちに慣れていて、モンゴルに帰っても、合わないなと思うときがあるくらい。身も心も日本になじんでいるんだなと思うんです。
日本人がモンゴルでモンゴル相撲を取ったらブーイングを受けると思う。でも日本では、ないよね。今の上位陣はモンゴル勢ばかりだけど、応援の声はしっかり盛り上がる。ファンは純粋に楽しんでいるんだなと思います。
ただ、みんな身近な人を応援したいのは当然ですから「日本出身」「日本人」を応援したいっていう気持ちは分かりますよ。だから、最初は「へぇ、こういう表現があるんだ」くらいで気にしなかった。それが、初場所、新聞やテレビでどんどん使われるようになって、どんどん違和感が膨らんでいった。言葉の使われ方、報道ってすごく重いんだなと思いますね。
0 件のコメント:
コメントを投稿