2016年10月4日火曜日

小倉義光さん(94歳)は30年読み継がれる「気象学」の教科書の著者だ。 「生かされている自分が、社会に貢献しないといけません。」  気象予報士の志望者で、名前を知らぬ人はいないといわれる。大気の運動や熱力学などを解説した「一般気象学」を書いたのが32年前。以来、計46刷を重ね、気象予報士試験のバイブルとなった。  難解な数式の合間に、世界史や名画の話題も織り交ぜる。専門書にとどまらない幅の広さが、揺るぎない支持の背景にある。  原点は米の大学での二十数年間の経験だ。学生の反応が評価に反映され、いやでも教え方を工夫した。イリノイ大教授当時、1年間の休暇中に執筆、「予想を超すロングセラーになっちゃった」。  神奈川県横須賀市出身。1歳の時、関東大震災に遭い、呉服商だった父を亡くした。東大理学部に進学、戦時中は卒業後も特別研究生として在学を許された。戦後、大学図書館で気流を左右するロスビー波の論文を見つけ、大気乱流の研究に没頭。発表論文はアメリカで評価され、37歳でマサチューセッツ工科大に研究者で迎えられた。 東大海洋研究所長などを歴任。気象予報士制度の立ち上げにも尽力し、出題責任者も務めた。  豪雨や台風など極端化する気象で災害が相次ぐ昨今、気象学の大切さを感じる。去年は新著「日本の天気」を出版した。卒寿をすぎて情熱を失わないのは、戦火に散った学友への思いからだ。  

小倉義光さん(94歳)は30年読み継がれる「気象学」の教科書の著者だ。
「生かされている自分が、社会に貢献しないといけません。」
 気象予報士の志望者で、名前を知らぬ人はいないといわれる。大気の運動や熱力学などを解説した「一般気象学」を書いたのが32年前。以来、計46刷を重ね、気象予報士試験のバイブルとなった。
 難解な数式の合間に、世界史や名画の話題も織り交ぜる。専門書にとどまらない幅の広さが、揺るぎない支持の背景にある。
 原点は米の大学での二十数年間の経験だ。学生の反応が評価に反映され、いやでも教え方を工夫した。イリノイ大教授当時、1年間の休暇中に執筆、「予想を超すロングセラーになっちゃった」。
 神奈川県横須賀市出身。1歳の時、関東大震災に遭い、呉服商だった父を亡くした。東大理学部に進学、戦時中は卒業後も特別研究生として在学を許された。戦後、大学図書館で気流を左右するロスビー波の論文を見つけ、大気乱流の研究に没頭。発表論文はアメリカで評価され、37歳でマサチューセッツ工科大に研究者で迎えられた。 東大海洋研究所長などを歴任。気象予報士制度の立ち上げにも尽力し、出題責任者も務めた。
 豪雨や台風など極端化する気象で災害が相次ぐ昨今、気象学の大切さを感じる。去年は新著「日本の天気」を出版した。卒寿をすぎて情熱を失わないのは、戦火に散った学友への思いからだ。
 

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