「ローマ教皇とナチス 大澤健男」を読む。
○ 第二次大戦時にローマ教皇であったピウス12世(1876~1958)が、ナチスのユダヤ人虐殺に公式的非難を行わなかったのはなぜかという問題を追求した書である。
○ 本書は第二次大戦という一時期に論を絞ったものだが、ヨーロッパ世界がユダヤ人に対して伝統的に示してきた差別的態度についても述べられている。
○ 著者はピウス12世がナチス党政権下のドイツのユダヤ人迫害をはっきりと批判しなかった理由として、
① 教皇自身がドイツ赴任中にドイツ人への好感を培っていた。
② キリスト教会の伝統的な反ユダヤ感情宗教を否定する共産主義に対する防壁としてのナチス党政権下のドイツへの期待。
③ ナチス党政権下のドイツの暴力が無防備なカトリック教会に向けられることへの恐怖を挙げている。
○ しかし、ユダヤ人迫害はピウス12世だけを問題として個人化しすぎと考えられる。ピウス12世という一人の人間の個人的資質にするのでなくキリスト教全体の問題とし議論すべきであろう。
教皇庁、カトリック、イタリアといったより広範な反ユダヤの背景を語っていない。
○ 改めて思うに日本政府はナチスドイツと同盟を結んでいて杉原千畝さんのユダヤ人救出には冷淡であった事を隠す事はできない。
2018年6月9日土曜日
「ローマ教皇とナチス 大澤健男」を読む。 ○ 第二次大戦時にローマ教皇であったピウス12世(1876~1958)が、ナチスのユダヤ人虐殺に公式的非難を行わなかったのはなぜかという問題を追求した書である。 ○ 本書は第二次大戦という一時期に論を絞ったものだが、ヨーロッパ世界がユダヤ人に対して伝統的に示してきた差別的態度についても述べられている。 ○ 著者はピウス12世がナチス党政権下のドイツのユダヤ人迫害をはっきりと批判しなかった理由として、 ① 教皇自身がドイツ赴任中にドイツ人への好感を培っていた。 ② キリスト教会の伝統的な反ユダヤ感情宗教を否定する共産主義に対する防壁としてのナチス党政権下のドイツへの期待。 ③ ナチス党政権下のドイツの暴力が無防備なカトリック教会に向けられることへの恐怖を挙げている。 ○ しかし、ユダヤ人迫害はピウス12世だけを問題として個人化しすぎと考えられる。ピウス12世という一人の人間の個人的資質にするのでなくキリスト教全体の問題とし議論すべきであろう。 教皇庁、カトリック、イタリアといったより広範な反ユダヤの背景を語っていない。 ○ 改めて思うに日本政府はナチスドイツと同盟を結んでいて杉原千畝さんのユダヤ人救出には冷淡であった事を隠す事はできない。
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