2015年2月5日木曜日

イエルサレムアイヒマン

「イェルサレムのアイヒマン    ハンナ・アーレント」を読む。
ごく平凡な小心な命令に従う人間がユダヤ人約500万人の虐殺に指導的役割を果たした。柔順で平凡で命令に従う人間は心せよと警告する本だ。
アドルフ・アイヒマンはナチスドイツの親衛隊中佐であった。ナチス政権によるホロコーストに関与し、約500万人を強制収容所へ移送するにあたって指揮的役割を担った。
彼はホロコーストの中心人物で、第二次世界大戦後にアルゼンチンのブエノスアイレスで潜伏生活を送っていたアドルフ・アイヒマンが、イスラエルの諜報機関によって極秘逮捕されてエルサレムに連行され、1961年4月11日に始まった公開裁判の後に死刑執行されるまでを描いた本だ。
裁判の様子を描いただけではなく、ヨーロッパ各地域で如何なる方法でユダヤ人が国籍を剥奪され、収容所に集められ、殺害されたかを詳しく綴っている。
アーレントはこの本の中で、アイヒマンを極悪人として描くのではなく、極普通の小心者で取るに足らない役人に過ぎなかったと描いた。
また、アーレントは国際法上に於ける「平和に対する罪」に明確な定義がないことを指摘し、ソ連によるカティンの森事件や、アメリカによる広島・長崎への原爆投下が裁かれないことを批判している。

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