2018年7月11日水曜日

「伝統との対決 岡本太郎」を読む。 岡本太郎は「日本の伝統」に激しく対立する。伝統とは、対決すべき己の敵であり、己れ自身でもあると述べる。 「伝統」と言う日本語自体、実は明治時代に英語の‘‘tradition‘‘の翻訳である。 ○ いたずらに、伝統的なものを礼讃するのではなく、ゼロベースで、現代的な視点で捉えることを、絶えず強調している。 ○ 有名人の作品であれば良い作品と思うのは過ちである。先入観を捨て観賞するのが芸術に見方であると言う。 ○ 岡本太郎は、縄文土器に強烈な美、尾形光琳に絢爛な美を見出す。 岡本にとって、縄文土器は、日本=わび、さび的な紋切り型のイメージを打ち壊してくれる象徴的な存在である。 ○ 岡本太郎は京都の中世の日本庭園を丹念に見て回っている。 大陸から日本に入ってきた禅が、自然と対決するようなものへと日本文化を変えなかったことを残念がっている。 ○ 日本人は単なる装飾性、趣味性ばかりを洗練させてきたが、それだけでは優れた芸術とは言えない。 ○ 本書所収のもう一つの目玉は『日本再発見――芸術風土記』だ。 岡本太郎によるはあの時代の秋田、長崎、京都、出雲、岩手、大阪、四国のルポルタージュとして読むと面白い。 ○ 特に印象深かったのが長崎編だ。 この地で、明治の文明開化以前にはじめて日本が西洋と対峙したのだ。 そして、すでにこの時代から日本の西洋コンプレックスは始まっていたようだ。 以上あげた『日本の伝統』、『日本再発見――芸術風土記』の2編のほかに、短編・中編の著述として、  『縄文土器論――四次元との対話』(これは先にあげた『日本の伝統』の第2章と重なる)  雪舟への批判  亀井勝一郎との伝統論争(亀井勝一郎の、ちょっととぼけたようなところが、また良い)  『伝統と創造』(短編、伝統と創造を対極的にぶつける)  『伝統と現代造形』(短編、外国からの評価でなく我々自身の問題として考えるといいうのがテーマ)  『伝統とは何か』(中編、『日本の伝統』を掘り下げている。)

「伝統との対決 岡本太郎」を読む。
岡本太郎は「日本の伝統」に激しく対立する。伝統とは、対決すべき己の敵であり、己れ自身でもあると述べる。
「伝統」と言う日本語自体、実は明治時代に英語の‘‘tradition‘‘の翻訳である。
○ いたずらに、伝統的なものを礼讃するのではなく、ゼロベースで、現代的な視点で捉えることを、絶えず強調している。
○ 有名人の作品であれば良い作品と思うのは過ちである。先入観を捨て観賞するのが芸術に見方であると言う。
○ 岡本太郎は、縄文土器に強烈な美、尾形光琳に絢爛な美を見出す。
岡本にとって、縄文土器は、日本=わび、さび的な紋切り型のイメージを打ち壊してくれる象徴的な存在である。
○ 岡本太郎は京都の中世の日本庭園を丹念に見て回っている。
大陸から日本に入ってきた禅が、自然と対決するようなものへと日本文化を変えなかったことを残念がっている。
○ 日本人は単なる装飾性、趣味性ばかりを洗練させてきたが、それだけでは優れた芸術とは言えない。
○ 本書所収のもう一つの目玉は『日本再発見――芸術風土記』だ。
岡本太郎によるはあの時代の秋田、長崎、京都、出雲、岩手、大阪、四国のルポルタージュとして読むと面白い。
○ 特に印象深かったのが長崎編だ。
この地で、明治の文明開化以前にはじめて日本が西洋と対峙したのだ。
そして、すでにこの時代から日本の西洋コンプレックスは始まっていたようだ。
以上あげた『日本の伝統』、『日本再発見――芸術風土記』の2編のほかに、短編・中編の著述として、
 『縄文土器論――四次元との対話』(これは先にあげた『日本の伝統』の第2章と重なる)
 雪舟への批判
 亀井勝一郎との伝統論争(亀井勝一郎の、ちょっととぼけたようなところが、また良い)
 『伝統と創造』(短編、伝統と創造を対極的にぶつける)
 『伝統と現代造形』(短編、外国からの評価でなく我々自身の問題として考えるといいうのがテーマ)
 『伝統とは何か』(中編、『日本の伝統』を掘り下げている。)

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