「果てしなく美しい日本 ドナルド・キーン」を読む。
2011年3月11日の東日本大震災の後多くの外国人は日本から去った。その時 ドナルド・キーン(Donald Keene) 先生は 89歳でアメリカから日本へ帰化を決められた。ドナルド・キーン先生は日本愛の日本論を語る。
この本は、三部からなる。
○第一部 生きている日本
ドナルド・キーン先生は豊かな水と緑に満ちた山並み連なる美しい国、日本。来日間もない若き日の先生が、瑞々しい感覚で、日本とはどのような国かを思い、世界の人々に紹介する。近代化による大変貌にもかかわらず依然として変わらない日本人の本質を見つめ、著しい美的趣向、豊かな感受性、比類のない多様性など日本文化の特性を描き出す。
○第二部 世界の中の日本文化
もともと日本文化は世界に開かれていた。
古来中国には中華思想があった。中国が世界の中心であり、周辺諸国は野蛮国であるという思想である。日本はアジアの東夷(東の島国の野蛮人)と思っていた。だから中国人は日本の事は学ぶ事はないと思っていた。
16世紀に日本にキリスト教を伝えたことで有名なフランシスコ・ザビエルは、このように書いている。「日本人は我々によく似ている国民である。同じ程度の文化を有する国民である。」
また日本人はヨーロッパ人より清潔な国民だった。
例えばフランスのルイ十四世(1638-1715)も、手づかみで食べていた。そして彼が完成させたベルサイユ宮殿がきわめて非衛生的なところだった
○第三部 東洋と西洋
江戸時代の鎖国政策の前には日本は世界に開かれていた。
東大寺大仏開眼法要にはインド僧菩提寺遷那が参加している。
葡萄は遠くヨーロッパから渡来した。日本語の葡萄はギリシャ語のbudorosからの派生であろう。操り人形を傀儡と言うのは古代ギリシャ語のkuklaであろう。
正倉院所蔵の御物を拝見するだけで日本の国際性は理解できる。
あるポルトガルの宣教師は故国に送った手紙で、日本の家がきわめて清潔なことについて書いています。
「一日に入浴する頻度という点で、日本人は他のどの国民にも優っていると思われるがさらにいっそう優れているのは、入浴するときの清潔さと品位であり、浴場を建てる場合は、もっとも貴重な薬効のある木材を用いる。」
日本人は「箸と呼ばれる日本の小さな棒を使って、しかも、それを巧に操って清潔に食べ、素手で食物に触ったり、食べかすを皿から食卓にこぼしたりはしない。」
明治初年日本が文化的国民であると示そうとした「鹿鳴館時代」のために、かえって日本は「サル真似の国」と評価された。
「日本は神秘な国だ」との伝説。1985年ローウェルという人が『オカルト・ジャパン(神秘な日本)』という本を書いた。
やがて日本人自身も自らを神秘な国民であり日本文化は外国人に理解できないと思うようになった。これは困った現象である。
2015年1月19日月曜日
「果てしなき美しい日本 ドナルド・キーン」
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