2015年3月20日金曜日

島の理容室


心温まるニュースです。福田隆俊さん沖縄の渡名喜島で「美容室」を開く。
 沖縄本島から北西へ60キロ、周囲12・5キロの小島「渡名喜(となき)島」。島民400人の約4割は65歳以上。観光名所もない、のどかな島だ。この島に7年前から通い、月に10日間だけ「美容室」を開いては、70人あまりの髪を整える。
 茨城県内で美容室4店舗を切り盛りするやり手の美容師だった。50歳を前に多忙な生活を見つめ直そうと、1人で島巡りした。「一緒に遊ぼうよ」。フェリーで出会った島の少年に声をかけられ、日が暮れるまで遊んだ。少年の髪の毛は伸びきっていた。島に散髪屋はなく、那覇まで片道2時間半かけていたと聞いた。
 島の虜(とりこ)になり、ハサミを持って再訪、屋外で新聞を広げて少年たちの髪を切った。喜んでくれる姿を見て、美容室をつくろうとしたところ、「内地者には貸さない」と門前払いに。何度か通い、やっと古民家を借りることができた。
 翌年、6畳2間にシャンプー台と椅子1台の「島の美よう室」を建てた。今では店内を子どもがはしゃぎ回り、お年寄りは踊っている。茨城の店は2人の美容師の娘に託して毎月、島へ通う。娘は「顔が黒くなった」と笑う。
 島では「お帰り」と声をかけられる。サービス料は本土の半額以下で、交通費を考えると「大赤字」。でも、悪天候で通えないと不安になる。「パーマがすぐにほどけてしまう、おばぁが待っている」
2015年3月20日朝日新聞ニュース。

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