「かこさとし」さんを悼みご冥福を心から祈ります。
○「からすのパンやさん」「だるまちゃんとてんぐちゃん」などの作品で知られる絵本作家で児童文化研究家かこさとし(加古里子=本名・中島哲〈なかじま・さとし〉)さんが5月2日、慢性腎不全のため死去されました。92歳だった。葬儀は家族で行った。後日、しのぶ会を開く予定。
1926年、現在の福井県越前市に生まれ、東大工学部を卒業。終戦後、昭和電工に勤める傍ら、休日を使って医療や教育などに困難を抱えた人々を支援する「セツルメント活動」に力を注いだ。
○ 軍国少年だった自らへの悔いが背景にあったという。戦災にあった地域の子どもに見せていた自作の紙芝居が、福音館書店の編集者だった松居直さんの目にとまり、1959年に絵本「だむのおじさんたち」でデビューした。
○ 「かわ」「海」「地球」など、子どもの好奇心を引き出す科学絵本も数多く手がけた。専門家に取材して最新の知見を盛り込みつつ、語りかけるような文章に加え、挿絵や図版を多くして理解を助けるよう心を配った。ラオスやベトナム、オマーン、中国などで識字活動や障害児教育にも取り組んだ。紙芝居や一般書を含めた作品は700点を超える。
約29万点の資料をもとにまとめた「伝承遊び考」全4巻の完成などが評価され、08年に菊池寛賞を受賞。13年に「からすのパンやさん」の続編4冊、「どろぼうがっこう」の続編2冊、14年には「だるまちゃん」シリーズの新作や半生を語った「未来のだるまちゃんへ」を出版するなど、最近まで盛んな創作意欲を見せていた。
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