2016年11月21日月曜日

銭湯の富士山描き1万点 「現代の名工」絵師・中島さん 東京都板橋区の銭湯絵師の中島盛夫さん(71歳)は各分野で卓越した技能を持つ「現代の名工」に今年は160人の一人として選ばれた。 東京都港区の明治記念館で11月21日、表彰式がある。数少なくなった銭湯絵師の中島盛夫さんは、富士山をモチーフにした背景画を描く技術に秀でているとして選ばれた。  中島さんは福島の高校を中退し、上京して町工場で汗を流していた。19歳のとき、工場の床に落ちていた新聞に「銭湯絵師の助手募集」という三行広告があるのをみつけた。その日のうちに電話をかけた。  絵が趣味だった。工場の隣の銭湯に大きな富士山の絵があって、「いつか描いてみたい」と憧れていた。以来、半世紀あまり。描いた絵は1万点を超える。「全国の銭湯がキャンバス。大きな絵を描くのは楽しくてやめられない」  幅10メートル弱の巨大な銭湯の壁と向かい合う。一つの絵にかける時間は3時間ほど。定休日や営業時間前に描かなければいけないので下書きはほとんどしない。30代のころ、唯一の休みだった日曜日をつかって、毎週富士山の周辺に通った。360度、様々な角度からの光景が頭のなかにある。  足場を組み、4種のローラー、10種の刷毛や筆を駆使して空から塗っていく。筆は細いものになると、5ミリほどのものも。とくに心を砕くのが、長く伸びる稜線と、頂上の陰影だ。中島さんは語る。「富士山は3歳の子どもでも描ける。それをいかに描くか。腕の見せどころだよ」

銭湯の富士山描き1万点 「現代の名工」絵師・中島さん
東京都板橋区の銭湯絵師の中島盛夫さん(71歳)は各分野で卓越した技能を持つ「現代の名工」に今年は160人の一人として選ばれた。
東京都港区の明治記念館で11月21日、表彰式がある。数少なくなった銭湯絵師の中島盛夫さんは、富士山をモチーフにした背景画を描く技術に秀でているとして選ばれた。
 中島さんは福島の高校を中退し、上京して町工場で汗を流していた。19歳のとき、工場の床に落ちていた新聞に「銭湯絵師の助手募集」という三行広告があるのをみつけた。その日のうちに電話をかけた。
 絵が趣味だった。工場の隣の銭湯に大きな富士山の絵があって、「いつか描いてみたい」と憧れていた。以来、半世紀あまり。描いた絵は1万点を超える。「全国の銭湯がキャンバス。大きな絵を描くのは楽しくてやめられない」
 幅10メートル弱の巨大な銭湯の壁と向かい合う。一つの絵にかける時間は3時間ほど。定休日や営業時間前に描かなければいけないので下書きはほとんどしない。30代のころ、唯一の休みだった日曜日をつかって、毎週富士山の周辺に通った。360度、様々な角度からの光景が頭のなかにある。
 足場を組み、4種のローラー、10種の刷毛や筆を駆使して空から塗っていく。筆は細いものになると、5ミリほどのものも。とくに心を砕くのが、長く伸びる稜線と、頂上の陰影だ。中島さんは語る。「富士山は3歳の子どもでも描ける。それをいかに描くか。腕の見せどころだよ」

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