「宗教に揺さぶられた日本史 武光誠」を読む。
「宗教が関わった事件」を読み解くと、歴史の新たな実像が見えてくる。宗教が絡んだ争い・出来事はなぜ起こり、その時代に何をもたらしたのか。
○ 世界の宗教戦争と日本の宗教紛争の違い
一神教の世界では、宗教の違い、さらに同一宗教でも宗派のがそのまま、そのまま敵味方になった。
392年にローマ帝国キリスト教を国教とした。そして異教徒を弾圧した。
610年にムハマンドがイスラム教を起こし広い地域で聖戦(ジハード)を行い多くの異教徒を征服した。
西ヨーロッパ諸国の勢力が拡大すると、キリスト教徒は十字軍と称してイスラム圏に侵入し200年に及ぶ戦争を起こした。
日本においては神仏習合により、それほど大きな宗教戦争は、起きなかった。
1章 奈良時代までの宗教をめぐる紛争・事件―古来の神をまつる日本人を「仏教・道教」は、いかに変えたか
多神教の神道は平和な宗教であった。蘇我、物部の戦いは宗教戦争と言うより朝廷内の勢力争いであった。
2章 平安時代の宗教をめぐる紛争・事件―武士の勃興と「僧侶の武装化」が日本史をかくも揺るがした
武士化した僧侶、強訴する法師武者。熊野別当は源氏に味方し源平合戦を源氏勝利に導いた。
3章 鎌倉・南北朝時代の宗教をめぐる紛争・事件―聖域「比叡山・吉野」に、朝廷と幕府の争いがもたらしたものとは
足利尊氏は比叡山を徹底的に叩いた。吉野の修験者が後醍醐天皇の南朝を支えた。
4章 室町・戦国時代の宗教をめぐる紛争・事件―民衆を取り込んだ「新仏教」は権力といかに対峙したか
庶民仏教、所謂「新仏教」は北陸に真宗王国(自治国)を成立させた。
5章 安土桃山時代の宗教をめぐる紛争・事件―信長・秀吉の天下統一に対し「宗教勢力」はどう抗ったのか
織田信長による比叡山焼き討ち。顕如が率いた石山合戦、長島合戦で織田信長を苦しめた。豊臣秀吉は雑賀、根来を攻め仏教勢力を攻め落とした。
6章 江戸・明治時代の宗教をめぐる紛争・事件―「島原の乱」と「神仏分離令」が日本社会に与えた影響とは
「島原の乱」は宗教戦争と言うより百姓一揆に近い。
ペリー来航(1852)以来尊皇論が急速に広まった。明治政府は神道と天皇制が切りはなせない日本独自の信仰とする復古信仰が正しいとした。その為信仰を「古事記」の時代に戻そうとした。それが神仏分離令であり、廃仏毀釈である。
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