2018年9月19日水曜日

「殿様は明治をどう生きたのか 河合敦」を読む。 幕末から明治へ、二つの時代を生きた殿様たちの人生模様を語る。 王政復古の大号令、廃藩置県で藩主として出番を終えた、その殿様達の明治における「それからの人生」を語る。 本書で取り上げられている「元」殿様は十四人である。 ○ 維新の波に抗った藩主たち。 松平容保(会津)、松平定敬(桑名)、林忠崇(請西)、徳川茂承(紀伊)。 ○ 最後の将軍徳川慶喜に翻弄された殿様。 徳川昭武(水戸)、松平春嶽(越前)、山内容堂(土佐)、徳川慶勝(尾張)、徳川家達(静岡)。 ○ 育ちの良さを活かして明治に活躍。 蜂須賀茂韶(阿波)、浅野長勲(広島)、岡部長職(岸和田)、上杉茂憲(米沢)、亀井茲監(津和野)。 ○ 政治からは退いてひっそりと生きた人、趣味の世界に没頭する人、政治家や官僚として活躍する人等々、殿様の地位を失った彼らの第二の人生も実にさまざまである。 ○ 本格的な専門書に手を伸ばしたり、あるいは近頃流行りの明治維新見直し本などに首を突っ込む前にひと通りの歴史の流れをチェックするために読んでみるのもよろしいでしょう。 ○ 印象深かったのは紀伊藩と津和野藩の近代化改革でして、前者は保守派の反発、後者は攘夷派の過激な運動というあべこべな方向からの圧力によってあえなく挫折し、せっかく西洋化した軍制も古式に戻される。 一般的な幕末史では薩摩藩や佐賀藩の「成功例」しか紹介されないので、こうした「失敗例」も採り上げてもらえると参考になる。 一方で昭和まで生きてワシントン軍縮会議に参加し、協調外交に活躍した徳川家達は右翼国家主義者から命を狙われることになった。 歴史は繰り返すといいましょうか、いつの時代も政治を誤らせるのは過激な愛国者が国を誤らされる。

「殿様は明治をどう生きたのか 河合敦」を読む。
幕末から明治へ、二つの時代を生きた殿様たちの人生模様を語る。
王政復古の大号令、廃藩置県で藩主として出番を終えた、その殿様達の明治における「それからの人生」を語る。
本書で取り上げられている「元」殿様は十四人である。
○ 維新の波に抗った藩主たち。
松平容保(会津)、松平定敬(桑名)、林忠崇(請西)、徳川茂承(紀伊)。
○ 最後の将軍徳川慶喜に翻弄された殿様。
徳川昭武(水戸)、松平春嶽(越前)、山内容堂(土佐)、徳川慶勝(尾張)、徳川家達(静岡)。
○ 育ちの良さを活かして明治に活躍。
蜂須賀茂韶(阿波)、浅野長勲(広島)、岡部長職(岸和田)、上杉茂憲(米沢)、亀井茲監(津和野)。

○ 政治からは退いてひっそりと生きた人、趣味の世界に没頭する人、政治家や官僚として活躍する人等々、殿様の地位を失った彼らの第二の人生も実にさまざまである。
○ 本格的な専門書に手を伸ばしたり、あるいは近頃流行りの明治維新見直し本などに首を突っ込む前にひと通りの歴史の流れをチェックするために読んでみるのもよろしいでしょう。
○ 印象深かったのは紀伊藩と津和野藩の近代化改革でして、前者は保守派の反発、後者は攘夷派の過激な運動というあべこべな方向からの圧力によってあえなく挫折し、せっかく西洋化した軍制も古式に戻される。
一般的な幕末史では薩摩藩や佐賀藩の「成功例」しか紹介されないので、こうした「失敗例」も採り上げてもらえると参考になる。
一方で昭和まで生きてワシントン軍縮会議に参加し、協調外交に活躍した徳川家達は右翼国家主義者から命を狙われることになった。
歴史は繰り返すといいましょうか、いつの時代も政治を誤らせるのは過激な愛国者が国を誤らされる。

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