2016年8月8日月曜日

「新約聖書外典 荒木献」を読む。  ローマカトリック教会の主導で新約聖書の正典が確立したのは、紀元3世紀の終わり頃だ。正典に含まれない書を外典と呼ぶ。外典には正典に劣らず価値高い書も多い。 『新約外典』とは現行の『新約聖書』二十七書から外された文書がいわゆる『新約外典』であるが、本書巻末の「外典一覧」を数えても八十八編もある。使用された言語もギリシャ語・ラテン語・アルメニア語・コプト語・エチオピア語・ペルシア語・シリア語・スラブ語と多岐にわたる。本書は「外典一覧」に掲げられたものの中から11編が邦訳され、それぞれの文書の背景も解説されている。初期キリスト教、グノーシス派研究の基礎資料としての価値はもちろんだが、当時これらの文書は、いわゆる大衆文学としても広く流通したようで、三つの「福音書」「トマスによるイエスの幼時物語」そしてヨハネ、ペテロ、パウロ、アンデレ、ユダ・トマスの各「行伝」さらに明らかに創作作品の「セネカとパウロの往復書簡」など読みやすく興味深い文書ばかりだから「古代文学」の一ジャンルとして読むのも意義ある事だ。

「新約聖書外典   荒木献」を読む。
 ローマカトリック教会の主導で新約聖書の正典が確立したのは、紀元3世紀の終わり頃だ。正典に含まれない書を外典と呼ぶ。外典には正典に劣らず価値高い書も多い。
『新約外典』とは現行の『新約聖書』二十七書から外された文書がいわゆる『新約外典』であるが、本書巻末の「外典一覧」を数えても八十八編もある。使用された言語もギリシャ語・ラテン語・アルメニア語・コプト語・エチオピア語・ペルシア語・シリア語・スラブ語と多岐にわたる。本書は「外典一覧」に掲げられたものの中から11編が邦訳され、それぞれの文書の背景も解説されている。初期キリスト教、グノーシス派研究の基礎資料としての価値はもちろんだが、当時これらの文書は、いわゆる大衆文学としても広く流通したようで、三つの「福音書」「トマスによるイエスの幼時物語」そしてヨハネ、ペテロ、パウロ、アンデレ、ユダ・トマスの各「行伝」さらに明らかに創作作品の「セネカとパウロの往復書簡」など読みやすく興味深い文書ばかりだから「古代文学」の一ジャンルとして読むのも意義ある事だ。

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