「のど元過ぎれば有馬稲子 有馬稲子」を読む。
私はこの本を読み有馬稲子さんの苦労に心が痛む。華やかな芸能生活の裏に深い苦難があったのだ。
著書有馬稲子さん(1932~)が、美しいだけでなく、優れた知性の持ち主だということである。
自分のつらい過去の経験をこれだけ冷静に客観的に捉え、分析し、的確な文章で伝えられる人は、決して多くない。
○ 有馬稲子さんは親運、男運、富運、結婚運が、悪い方であった。
彼女の人間として誠実に生きようという願いから出たことが、ほとんど全て裏目に出た。実父の情の薄さは信じがたい。
妻子ある年長の某監督との情事は、知識欲の強い彼女にとって映画を含む芸術を教えてくれる教養人への憧れから出たものであったが、男は結局彼女を裏切った。
○ 中村錦之介との結婚の失敗も、歌舞伎役者としては優れていても、錦之介は家庭を作る事には熱心では無かった。
二番目の夫は、豊かだった時は気配りのできる円満な夫だったが、事業に失敗すると、包丁を持って彼女を追いまわす暴君になった。
○ 彼女は芸に誠実だった。美人女優として持て囃されていた時期に、民藝の宇野重吉の門下となり、一歩から訓練を受けた。その後、「はなれ瞽女おりん」を真面目に必死に情念を籠めて演じ続け、傾斜した舞台で脚を踏ん張って三味線を弾いたため、脚に金属をはめ込む手術を受けることになった。それを恨むのでなく、責任を果たせたと、誇りを持って描いている。
2018年8月25日土曜日
「のど元過ぎれば有馬稲子 有馬稲子」を読む。 私はこの本を読み有馬稲子さんの苦労に心が痛む。華やかな芸能生活の裏に深い苦難があったのだ。 著書有馬稲子さん(1932~)が、美しいだけでなく、優れた知性の持ち主だということである。 自分のつらい過去の経験をこれだけ冷静に客観的に捉え、分析し、的確な文章で伝えられる人は、決して多くない。 ○ 有馬稲子さんは親運、男運、富運、結婚運が、悪い方であった。 彼女の人間として誠実に生きようという願いから出たことが、ほとんど全て裏目に出た。実父の情の薄さは信じがたい。 妻子ある年長の某監督との情事は、知識欲の強い彼女にとって映画を含む芸術を教えてくれる教養人への憧れから出たものであったが、男は結局彼女を裏切った。 ○ 中村錦之介との結婚の失敗も、歌舞伎役者としては優れていても、錦之介は家庭を作る事には熱心では無かった。 二番目の夫は、豊かだった時は気配りのできる円満な夫だったが、事業に失敗すると、包丁を持って彼女を追いまわす暴君になった。 ○ 彼女は芸に誠実だった。美人女優として持て囃されていた時期に、民藝の宇野重吉の門下となり、一歩から訓練を受けた。その後、「はなれ瞽女おりん」を真面目に必死に情念を籠めて演じ続け、傾斜した舞台で脚を踏ん張って三味線を弾いたため、脚に金属をはめ込む手術を受けることになった。それを恨むのでなく、責任を果たせたと、誇りを持って描いている。
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